掛け軸

 掛軸を一幅仕立てるときに大切な事が大きく3つあります。

一に「取り合わせ」
どのような裂地にして、色、柄の組み合わせはどうか。

二に「寸法」
どのような掛け軸の形にするか、選んだ裂地をどれくらいの幅や長さで取るか。

三に「仕立て」
掛け軸として、また作品の保護として柔らかく、歪みの無い掛かり方をしているか等、技術的な事。この順に重要とされ、裂地の取り合わせは掛け軸を作るとき一番大事というわけです。

 掛け軸に仕立てる事を「表具する」という言い方をしますが、少し洒落た「着物を着せる」という言い方もあります。一つの作品を役者さんに例えると、今度の出演する映画は時代劇か現代劇か。役柄がどんなものかによって、着物を決める。お殿様の役ならば羽織袴を、悩める美女ならばシックな柄のワンピースを、あるいは侍にタキシードを着せる荒業もあるかもしれません。取り合わせが一番大事というだけあって作品の印象はまるで違ってきますから、醍醐味であり一番難しい。待っている裂地の中から、その中で良い裂が無い時には買い足し選びます。

 美術館などに収められている表具には、これでもかと選び抜いた裂地で取り合わせているものがあります。その作品の持つ魅力を見抜き、さらに引き立てる役を存分に担っています。ご覧になった際は、ぜひ表具にも目を掛け、作品と共に味わって欲しいと思います。そして、皆様お手持ちの掛け軸は、ひと部屋の取り合わせとして時には架け替え、楽しんでいただければと思います。